解体工事での足場の重要性とは?安全設備としての存在価値を知ろう

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建築・建設工事の現場で欠かせない存在である「足場」。工事が終わったら解体してしまい、跡形もなくなってしまうものですが、それでも設置のためにさまざまな規則が定められ、関係者全員が安全を意識するための措置が取られている非常に重要なものです。

今回は、足場の基礎的な存在価値や重要性、養生との関連など、足場をさまざまな観点からアプローチしてお話していきます。

足場とは何か

「足場」は、解体工事に限らず文字通り「足を置く場所」となる、仮設の床のことをいいます。主に鉄のパイプのようなものを組み合わせて作り、建物のまわりをぐるりと取り囲むように設置します。

建物の高所で作業をする作業員の、安全な動線を確保する場所であり、また作業員の転落や工具類の落下事故などを防止する安全設備でもあるといえます。

以前は木製の足場も多く存在していましたが、今は鋼製のものが中心で、木製のものはほとんど見かけません。耐久性や安全性が高く、比較的簡単に組立てや解体ができてしまうものもたくさん見かけられます。

また、足場に養生を張りつけて設置することによって、工事現場で発生する騒音や粉じん・ほこりの飛散を抑えることも可能になります。足場と養生はセットとして考えていいといっても過言ではありません。

養生に関しては、のちほど詳しく記します。

建築現場における足場の存在は非常に重要であり、「労働安全衛生規則」の規定に従ったものでなくてはいけないとされていたり、扱うには国家資格が必要であったりします。これに関しても、詳しくは後述します。

足場を設置する際に必要な「申請」

解体工事を含めた工事現場で足場を設置する際には、いくつか「申請」をしなければなりません。

まず、足場が工事現場の敷地内に収まる場合は、管轄の警察署に届け出る「道路使用許可」のみ必要となります。敷地内でも「道路使用」なので、少しややこしいですね。

もし足場が敷地内だけに収まらず、道路に飛び出してしまうときには、この「道路使用許可」だけではなく、道路管理者(国、都道府県、市区町村)の「道路占用許可」も必要となります。

これらは、申請をするのは工事を行う(足場を組む)業者なので、施主が行う必要はありません。それでも施主の知識として知っておくに越したことはないでしょう。

足場に関する「労働安全衛生規則」

繰り返しになりますが、足場は工事現場において最大限の安全追求が求められるものであり、誰でも簡単に組み立てたり解体したりできるものではありません。少しでも扱いに気を抜けば容易に重大な事故やトラブルにつながりかねないものなのです。

そのため、安全配慮のためさまざまな規則や措置が存在しています。

平成27年に改正された「労働安全衛生規則」においては、主に以下のようなことが定められています。

・足場の組立時には安全帯などの墜落防止措置を行うこと

・足場材の緊結などの作業を行う際は、幅40センチ以上の作業床を設置すること

・足場の組立には特別教育を実施する

・足場組立後は注文者も点検をする

上記は主に、足場組立て時の転落防止についての措置です。作業員を含めた人的被害を出さないようにするために定められているものです。

・足場の床材と建物の隙間は12センチ未満とする

・足場の作業台から手すりなどを取り外す際は関係者以外の立入を禁止する

さらに上記は作業床に関する安全措置です。作業員のみならず第三者の安全確保についても定められています。

また、簡単に前述もしましたが、足場の組立てや解体が行われる現場においては、労働安全衛生法に定められた国家資格である「足場の組立て等作業主任者」という有資格者を置かなければなりません。

足場の組立て等作業主任者技能講習を修了し、学科試験に合格することで得られる資格であり、高さが5m以上の構造の足場の組立てなどの作業を行う現場の指揮監督者になれるものです。

このように、足場は建築現場における「安全最前線」であり、これ以上はないというほどの安全性を確保するよう、さまざまな面で定めがあるのですね。

足場とセット!「養生」でも守る安全性

前述した通り、足場と切っても切り離せないのが「養生シート」です。養生シートは足場に張って設置するもので、工事で発生するほこりや粉じんを外に飛散させない・騒音をできるだけ抑えるなどの役割を担うものですが、実は足場同様「安全を守るもの」としても欠かせない存在なのです。

転落・落下・延焼・倒壊防止

しっかりとした足場に適正なやり方で養生シートが張られていると、足場を歩行する作業員の転落や工具・資材の落下を防止することもできます。

また、万が一足場が何らかの事情で倒壊したり、解体中の建物が崩れたりしても、養生の内側で崩壊がとどまり、外側にいる作業員や通行人などの安全を守ることもできるでしょう。

火災が起きても防炎シートであれば、外側への延焼も防げます。

きちんと組み立てられた足場、しっかり張られた養生シートというのは、それだけ安全面で絶大な威力を発揮するものなのです。

養生を見れば優良業者かわかる

もう一点、養生シートを見るだけで足場についてもわかることがあります。

それは、「養生シートをきちんと張る業者なら、足場も安全にしっかりと組んでいる業者だ」ということです。

というのも、足場については素人の目から見たところで、なかなか「正しく設置されているのか」は判断が難しいですよね。

その点、養生シートは「破れている」「穴があいている」「汚れがひどい」「大きさが合っていない」ということがあれば、見てすぐにわかります。

きちんとした業者であれば、このようないいかげんな養生はまず使いません。

安全性を重視した、きちんとした業者であるかという見極めポイントのひとつになるということを知っておくといいでしょう。

同じようなお話で、「養生シートに業者の名前が入っているところは信頼度も抜群」ということもあります。

消耗品である養生シートに会社名を入れられるということは、それだけ経営が安定している、名前を宣伝できるほど仕事にプライドや自信がある、というふうに取れないでしょうか?

世間や顧客に顔向けできないような経営をしているような業者には、このようなことはおそらく無理でしょう。ささいなことですが、素人の目でも確認できる部分なので、注目してみてもいいですね。

まとめ

・「足場」は、建築や建設現場において、作業員の安全を確保するための動線となる仮設床である

・足場の組立てが敷地内で収まる場合には「道路使用許可」だけ申請すればよいが、収まらない場合にはこのほかに「道路占用許可」も申請しなければならない。基本的には業者が代行してくれることだが、施主も知識として押さえておこう

・「労働安全衛生規則」によって、足場の安全配慮のためにさまざまな規則や措置が定められている。特に「転落防止」についての項目は多い

・きちんとした業者は、足場の組立てとともに、そこに張る「養生シート」もしっかりしたものを使っている。素人でも安全に配慮した業者かどうかを見極めるためには、養生シートに注目するとよいだろう

足場は「たかが」で済ませられるものではありません。工事の安全面を左右する、いわば工事の成功が最初にかかっている部分といっても過言ではない存在だということがおわかりになったでしょう。

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