解体工事現場では気をつけて!足場の扱いにおける注意点とトラブル

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建築・建設現場において、重要な存在である「足場」。作業員やその他第三者の安全を守り、作業をスムーズに進めるために必要不可欠なものですが、扱いを誤ると大きな事故やトラブルのもとになります。

ただの「仮設床」だと思ってはいけません。足場の役割と重要性をきちんと理解し、適切な扱いをする必要があります。

今回は、足場の設置においての注意点や、発生しうるトラブルについて詳しく見ていきましょう。

足場とは?その役割と重要性

解体工事において「足場」とは、取り壊す建物のまわりを取り囲んで組み立てる作業床のことです。この床に作業員が乗ることで、地面からでは届かない高所での解体その他の工事作業が可能になります。素材は主に鉄で、パイプのようなものを組み合わせて建てられているものをよく見かけるでしょう。

作業員の動線を確保し、安全・便利に作業を行えるようにするのが、まず足場の第一の役割です。

また、足場に「養生シート」というものを張ることで、騒音やほこり・粉じんの飛散を抑えることも可能になります。養生シートはまた、作業員の足場からの滑落防止・工具などの落下防止としての役割も持っていて、足場の安全性をさらに高める役目を果たすともいえます。

それゆえ、足場を組み立てる際や維持する際にも「安全第一」の意識を常に忘れてはいけません。軽視すると、安全性の低い足場ができあがる可能性だけではなく、足場の存在自体が危険そのものになってしまう恐れも出てくるのです。

次項からは、足場設置において考えられるトラブルや、注意点を挙げていきます。

足場にかかわるトラブル

設置や解体のときに騒音がすることがある

足場の種類にもよりますが、足場は解体するときだけでなく組立てするときにも大きな音が鳴ります。金属パイプをハンマーでたたく作業があるからです。解体するときも、トラック運び込む際にパイプを置く音、転がる音などが耳障りと感じる人も多いでしょう。

また、足場の資材を運ぶ工事用車両の出入りの音が響くこともあります。

解体工事自体でも騒音はつきものですが、足場の組立てや解体においても音は鳴ります。施主としてもどんな音がどれだけの大きさで響くのか、知っておきたいところです。そしてあまりにも早い時間帯の朝や、あまりにも遅い時間帯の夕方以降に、作業が当たらないように注意しておきましょう。

周辺を破損させる危険がある

足場のパイプを運ぶ際、もしくは組立て時に誤って落とすなどして、どこか破損させてしまうという事故も考えられます。施主自身の敷地内で起きることならまだしも、隣家の外壁や塀、車などを損傷させてしまう恐れもあるでしょう。

足場を組み終わったら、解体し終わったら、解体工事が終わったら、という一区切りがついたタイミングで、施主もきちんと確認しておきましょう。特に隣家に傷をつけた場合は損害賠償問題にも発展します。気を抜かずに見ておきたいですね。

隣家が近すぎると足場が設置できないことがある

足場は、家屋の外壁から少し距離をおいたところに設置するため、敷地があまりにも狭い場合は自分の敷地内に足場が収まりきらないことがあります。

そういった場合、あらかじめ隣家の住人に挨拶して許可を得、隣家の敷地も使わせてもらって足場を設置することになるでしょう。

ところが、何も説明することもなく無断でいきなり隣家の敷地にまたがって足場を組んでしまうような業者も中には存在します。トラブルのもとなので、こういった業者とは極力契約を結ばないのが1番です。

風や揺れで倒壊する恐れがある

足場は一見簡単そうに組まれているようですが、実は最大限の安全性を配慮して組み立てられています。しかしいいかげんな業者が足場の重要性を軽視して扱うと、たとえば古くなって耐久性の下がった足場をそのまま使っていたり、ぐらぐらと安定していないことがわかっているのにそのままの状態で組み立てて使ったり、ということが起きる可能性があります。

そうすると、最悪な場合風や地震などで倒壊する危険も出てくるのです。

足場の倒壊は、上にのっている作業員がケガや死亡するリスクだけではなく、通行人や車などにも被害を及ぼす恐れがあります。

繰り返しになりますが、足場の組立てはとにかく「安全第一」、倒壊の危険性のあるような資材・扱いをするような業者を選んでは絶対にいけないのです。

足場についての注意点・知っておきたいこと

近隣挨拶を行っておく

足場を組む前というよりは、解体工事を行う前に近隣挨拶は必ず行うべきものです。

とはいえ、まず足場を組む際の独特な金属音(ハンマーでパイプをたたくため)がかなりの騒音となるため、近隣住民には足場組立の日程から説明を行っておくのがいいでしょう。

強い雨や風で作業がストップすることがある

足場は鉄でできているものが多いため、雨が降るとツルツル滑りやすくなります。高所作業であるうえ、重いものを抱えて足元が滑る狭いところを歩くのは大変危険であり、慣れている作業員にとってもそれは同様です。

強い風にあおられることも同じように転落の危険があります。自然現象はときに人間の思いもよらない事故を引き起こす恐れがあるということをきちんと理解しておき、たとえ工期が延びてしまうという恐れがあったとしても、くれぐれも無理をして続行せずに作業を中止することも必要であると心得ておきましょう。

資格が必要

高さ5m以上の足場の組立てなどを行う場合は、労働安全衛生法に定められた国家資格である「足場の組立て等作業主任者」という有資格者が作業指揮しなければならないとされています。

それだけ足場を扱う現場は危険を伴い、安全第一を掲げて作業を進めなければいけないということを示していますね。

作業スピードももちろん求めたいところですが、施主としては安全の重要さもしっかりと認識しておいてほしいところです。

「請負業者賠償責任保険」に入っているかどうか

足場の組立て・解体は安全を第一優先にするものだと繰り返し述べてきましたが、それでも万が一という事態はどんなときにでも起こりえます。前述したように部品で隣家を傷つけてしまったり、通行人にケガをさせてしまったりということなどが起こる可能性は、もちろんゼロではないわけです。

こういうときには、業者が「請負業者賠償責任保険」に加入していれば安心です。保険で損害を賠償することができるからです。

施主は、直接被害者への賠償責任を負うことはほとんどありませんが、それでも施主が依頼した業者がもしも十分な賠償責任を果たせないとなれば、後味も悪いしのちのちのトラブルの元にもなります。

業者選びの際には、きちんと「請負業者賠償責任保険」に加入しているところに依頼することを覚えておきましょう。

まとめ

・足場は、組立てや解体の際に騒音が発生したり、周囲のものを破損させたりする恐れがあるため、注意が必要。扱いを間違うと倒壊の可能性すらある

・強い雨や風で足場の組立てが進まないことがある。また組立ての際には国家資格を持つ作業員を置く必要があり、万が一のときには業者に賠償責任保険に入っていることが求められるなど、さまざまな面で安全確保の措置が取られている

・施主としても、現場での足場関連の安全確保については、知識を得ておくようにすべきである

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