解体工事現場での足場の存在意義と価値とは?あらゆる観点から足場を知る

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「足場」は、建築・建設工事の現場において作業員が「足を置く」仮設の床のことです。

建物のまわりをぐるりと取り囲むように鉄のパイプが組み立てられているのを見たことが、おそらくあるのではないでしょうか。

工事中の作業員が高所作業をするための仮設の足場であり、また転落や工具などの落下を防ぐ安全設備ともいえる存在で、工事現場では欠かせない重要な存在です。

今回はこの「足場」について、さまざまな観点から見ていきましょう。

足場の組立ての際に必要な申請

足場が工事現場の敷地内に収まる場合は、「道路使用許可」のみ必要となります。これは管轄の警察署に届け出て得るものです。

もし足場が敷地内だけに収まらず、道路に飛び出してしまうときには、「道路占用許可」も必要となります。これは道路管理者(国、都道府県、市区町村)に届け出てください。

届出するのは施主ではなく、業者が代行するものですが、施主として知っておいて損はないでしょう。

足場に関する「労働安全衛生規則」

足場は工事現場において非常に重要な存在であり、誰でも簡単に組み立てたり解体したりできるものではありません。扱いをひとつ間違えれば、重大な事故やトラブルにつながりかねないものであり、最大限の安全配慮が求められるので、そのためのさまざまな規則や措置が存在しています。

たとえば、平成27年に改正された「労働安全衛生規則」においては、以下のようなことが定められています。

・足場の組立時には安全帯などの墜落防止措置を行うこと

・足場材の緊結などの作業を行う際は、幅40センチ以上の作業床を設置すること

・足場の組立には特別教育を実施する

・足場組立後は注文者も点検をする

・足場の床材と建物の隙間は12センチ未満とする

・足場の作業台から手すりなどを取り外す際は関係者以外の立入を禁止する

作業員はもちろん、第三者についても人的被害を出さないように安全確保について定められています。

足場組立てには国家資格を持つ監督者が必要

高さが5m以上の構造の足場の組立てなどの作業を行う現場においては、労働安全衛生法に定められた国家資格である「足場の組立て等作業主任者」という有資格者が監督しなければいけません。

このように、足場の組立てに関しては最大限の安全性を確保するよう、各方面からの定めや制限があるのですね。

足場の組立てと解体

どのくらい時間がかかる?

足場の組立て時間は、建築物の大きさや作業人数によっても多少の違いは出てきますが、丸一日(6~8時間)、下手したら2,3日かけて行われることがほとんどです。

解体は、組立てほど時間はかからないものの、やはり丸一日かかることもあります。

足場の組立てや解体は、朝早くから作業しているところを見かけたことがあるでしょう。

夕刻まで作業が長引いて、手元や足元が薄暗くなってからの作業は危険であるため、早くからスタートしているのです。

足場の組立て工程

足場の組立ては、骨組みを作り、柱と手すりを取り付けていくという、工程自体は単純作業の繰り返しです。パイプを組み合わせてハンマーで打ち付けていくので、大きな音が常に鳴り響きます。

ただし、資材のひとつひとつが重かったり、水平に保ち続ける必要があったりと、重労働でなおかつ細かいことにも配慮しながらの仕事が求められます。

また、現場の状況に応じて安全性に十分気をつけながら作業をしていくので、足場の組立てには相応の時間がかかるということがよくわかるでしょう。

足場の種類

くさび足場(くさび緊結式足場・ビケ足場)

通常の改修工事や解体工事でよく見かける、もっとも一般的な足場がこれです。主に低層〜中層の建物の工事で使用されます。部材がユニット化されているため、ハンマー1本で組立て・解体ができるので、できあがるまでの時間が比較的短いというメリットがあります。

さまざまな形状の建築物にも対応できるうえ、耐久性も安全性も高いのですが、設置できない場所がある点と、ハンマーでたたくので、騒音が発生しやすいところがデメリットです。

枠組み足場(ビティ足場)

構造が簡単で各部材が軽量で扱いやすいうえに強度もあるため、高層建築物においても使われる足場です。ハンマーを使わないので、騒音がほとんどないのもメリットでしょう。

大掛かりな足場になるので、狭い敷地では設置不可能なことがあり、搬入経路や部材置き場にも一定の広さのスペースが求められます。

単管足場

鉄パイプを組み合わせて建てる足場で、比較的自由に形状を変えられるため、狭い場所でも設置可能、さまざまな建物の形に対応できます。

ただし床となる部分がなく、平行に並んだ2本の鉄パイプの上で作業することになるため非常に安全性が低く、危険な足場といえます。

単管ブラケット足場

単管足場に足を乗せる板を固定し、床を設置して安全性を確保したのが、単管ブラケット足場です。その分工期が少し長くなるのが弱点といえば弱点かもしれません。

吊り足場

上から作業床を吊り下げるタイプの足場です。落下などのリスクが高く、安全面で慎重に扱う必要のある足場ですが、地面に足場を設置することができない橋梁などの工事で活躍します。

移動式足場(ローリングタワー)

足場にキャスターなどがついていて、移動が可能になっているものです。基本構造は枠組み足場と同様で、そこに昇降用のはしごや作業床・手すりも一緒に組み込まれている形なので、組立て・解体は比較的簡単です。

作業中はキャスターが動かないようにしっかり固定して、安全を確保する必要がある点に注意です。また、当然ながら設置できる場所にも制限があります。

足場の費用相場

足場の面積の計算方法

足場の面積は「足場を外から見たときの、側面の面積の合計」です。

四角形の面積を求める式と同様に「たて×よこ」にあてはめてみると、足場の面積を求める式は「住宅の高さ×(住宅の外周+8m)」となります。

足場は外壁から少しだけ離して住宅を囲うため、足場の外周は住宅そのものよりも少し長いものになります。それを「+8m」で表しています。

足場費用の目安

足場全体の費用は「足場の面積×足場代の単価」という式で出すことができます。

足場代の単価は、前述した足場の種類によって多少差があり、大体下記のようになります。

・くさび足場・・・1㎡あたり800円~1200円

・枠組み足場・・・1㎡1000円~2000円

・単管足場・・・1㎡600円~800円

・単管ブラケット足場・・・1㎡800円~1200円

足場の面積は、前述したように「住宅の高さ×(住宅の外周+8m)」なので、これに足場代の単価をかけます。つまり、最終的な足場費用は「住宅の高さ×(住宅の外周+8m)×足場代の単価」で出すことができます。

ただし、これはあくまで目安であり、最終的な金額はまず業者に現地調査に来てもらって、見積のうえで正確な金額を算出します。

安すぎる足場代には要注意

上記で足場費用の目安の計算方法を提示しましたが、一般的な解体工事であれば全体の工事費用の20%程度は足場費用が占めています。

それよりも極端に安い、もしくは「足場費用無料」をうたっているような業者は、明らかに何らかの事情があると疑っていいでしょう。足場費用を無料にした解体工事で、利益を出せるようなものではないからです。結局は安全面を犠牲にしたり、廃棄物の処理で不正を行ったりして帳尻を合わせているようなことが多いのです。信用に値しないといっても過言ではない業者なので、引っかからないようにしましょう。

足場に関連するトラブル

騒音

解体工事自体にも騒音はつきものですが、足場の組立てや解体でも騒音はあります。

足場資材を運ぶ工事用車両の発する音が響くこともあるでしょう。

朝早くや夕方遅すぎる作業は業者に避けてもらうとともに。あらかじめ近隣挨拶をしておくことを忘れずに。

破損

足場の資材を運ぶ際に、周囲を破損させてしまうことも考えられます。施主の敷地内だけでなく隣家に被害が及んでしまうと、のちのちのトラブルにつながります。

足場を組み終わったら、または解体し終わったら、施主と業者で一通り現場をまわり、きちんと確認しておきましょう。

こういうときのために、「請負業者賠償責任保険」というものにきちんと加入している業者であれば安心ですね。保険で損害を賠償することができるからです。業者選びのひとつのポイントにしておいてもいいでしょう。

まとめ

足場は工事現場において、非常に重要な存在です。工事の「付属物」ではなく、安全のために絶対に欠かせない存在として、その意義と価値を知っておきましょう。

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